鶏の“希少部位”を味わう ― 一羽からわずかしか取れない贅沢な一串
焼き鳥って、同じ鶏でも部位によって味や食感がまったく違うんです。
定番のねぎまやもももおいしいですが、今日は“一羽からほんの少ししか取れない希少部位”のお話をしてみましょう。
知っているようで知らない、焼き鳥の奥深さを感じていただけると思います。

せせり(首の肉)
鶏の首まわりの筋肉で、よく動かす場所なのでほどよい弾力と脂の旨味が特徴です。
1羽からわずかしか取れないため、いつも人気。
塩で焼くと、噛むたびに脂の甘みがじゅわっと広がります。
そり(ソリレス)
ももの付け根の奥に隠れた、知る人ぞ知る部位。左右でたった二つ。
しっとり柔らかく、濃厚な旨味があるのが特徴です。
フランスでは「愚か者が残す肉(sot-l’y-laisse)」と呼ばれるほど、おいしい部位です。
ふりそで(肩肉)
胸とももをつなぐ部分で、脂のノリと柔らかさのバランスが絶妙。
焼くと香ばしい香りが立ち、塩でもタレでもいけます。
個人的には柚子胡椒を添えて、さっぱり食べるのが好きですね。
ぼんじり(尾の付け根)
尾骨まわりの肉で、鶏の中でもっとも脂がのった部位。
外はカリッと、中はトロッとした食感が魅力です。
強火で焼き上げて脂を落とすことで、香ばしさとコクが際立ちます。
はつ(心臓)
1羽にひとつだけの心臓。コリッとした歯ごたえとクセのない味が魅力です。
新鮮なはつは塩焼きがいちばん。焼きすぎないのがポイント。
タレで食べると香ばしさが増して、また違った美味しさになります。
ちょうちん(卵巣)
産卵前の卵(黄身)と卵管を一緒に焼いた、希少中の希少部位。
黄身がぷるんと弾けて、濃厚な味が口に広がります。
新鮮な鶏でしか出せないため、提供している店はごく限られます。
見つけたらぜひ食べてほしい一串です。
はらみ(横隔膜)
内臓と胸肉の間にある薄い筋肉で、1羽からごくわずか。
赤身肉のような風味としっかりした食感が特徴です。
焼きすぎず、少しレアに仕上げると旨味が際立ちます。
とさか(鶏冠)
鶏の頭の上にある赤い部分。ゼラチン質でプルプルとした食感が楽しめます。
コラーゲンが豊富で、タレ焼きや煮こごりにしてもおいしい珍味。
お酒好きの方に人気の一品です。
最後に
一羽の鶏から、せせりなら数十グラム、そりならたった2切れ。
そんな貴重な部位をもしメニューで見かけたら、ぜひ一度頼んでみてください。
一口で、「鶏ってこんなに奥深いのか」と感じてもらえると思います。